近代妙好人伝関連年表

「近代における伝記と共同体―真宗教団と妙好人伝を手がかりに―」(日本宗教学会第54回学術大会発表、1995年11月)の配布資料です。

妙好人伝(書籍) 機関紙・雑誌記事 関連事項
1868
(明治元)
    (3月)西本願寺明如、門末に勤王を直諭。
(11/29)東本願寺厳如・現如が全門末に対し八ヶ条の直命。
1870
(明治3)
    (1/3)大教宣布。
1872
(明治5)
    (3/14)教部省設置。教導職を置き、「三条ノ教則」を定め、大教院を設置。
1874
(明治7)
    (8月)大内青巒・島地黙雷・石川舜台ら『報四叢談』発刊。
1875
(明治8)
    (5月)大教院廃止。瑕丘宗興『真宗二諦弁』。
1877
(明治10)
    (1/11)教部省廃止、事務を内務省へ移管。
福田義導『真宗王法為本談』。
1879
(明治12)
    赤松連城「真俗二諦説」(『興隆雑誌』)
1883
(明治16)
羽根田文明『新妙好人伝』[堅田の源右衛門伝]    
1884
(明治17)
若原観幢『真宗明治妙好人伝』   (4月)島地黙雷・赤松連城・平松理英ら、令知会結成。
1886
(明治19)
思永『妙好人伝』
平松理英『教海美譚』(--1891(明治24))
   
1888
(明治21)
    (4月)三宅雪嶺・辰巳小次郎・棚橋一郎・島地黙雷・井上円了ら政教社結成、雑誌『日本人』発刊。
1889
(明治22)
華岡大仙『庄松ありのままの記』   (1月)大内青巒・辰巳小次郎・前田慧雲ら尊皇奉仏大同団結成、『大同新報』発刊。
(10月)東本願寺「大谷派家憲」制定。
1890
(明治23)
    (10/30)教育勅語発布。
前田慧雲『真宗道徳新論』。
1891
(明治24)
    (6月)西本願寺「本願寺内範」制定。
1894
(明治27)
    日清戦争勃発。
1895
(明治28)
    清沢満之ら東本願寺教団改革運動。
1897
(明治30)
仰誓・僧純・象王『妙好人伝』再刊    
1898
(明治31)
浜口恵璋『新妙好人伝』
紫藤得忍『妙好人梅野長三郎伝』
内田祐徹『新妙好人増尾周吉』
   
1899
(明治32)
仰誓・僧純・象王『妙好人伝』再刊   境野黄洋ら仏教清徒同志会結成。
1901
(明治34)
仰誓・僧純・象王『妙好人伝』再刊   清沢ら『精神界』発刊。
1904
(明治37)
仰誓・僧純・象王『妙好人伝』再刊   日露戦争勃発。
1907
(明治40)
仰誓・僧純・象王『妙好人伝』再刊    
1908
(明治41)
    (10/13)戊辰詔書発布。
1909
(明治42)
    野々村直太郎『宗教と倫理』。
1910
(明治43)
島地黙雷『妙好人楫取希子の伝』    
1911
(明治44)
山田文昭『真宗信者の模範』    
1912
(明治45, 大正元)
    浜口恵璋編『七里和上言行録』刊。
赤沼智善編『七里老師語録』8版。
1913
(大正2)
  「赤尾の道宗」(『宗報』真宗大谷派本山文書課、146号) 内務省宗教局を文部省に移管。
1916
(大正5)
大須賀秀道『貞信尼物語』    
1918
(大正7)
    雑誌『法爾』(富士川游編輯)創刊。
1919
(大正8)
森川憲澄『現妙好人伝』 寺本慧達編「生ける妙好人浅原才市」(--1922(大正11)、『法爾』) 雑誌『人生と信仰』(藤井巌主幹、近江求道会発行)創刊。
1920
(大正9)
    聖徳太子千三百年御忌奉讃法要。
小泉了諦編『七里恒順師語録』5版。
1921
(大正10)
    雑誌『真宗の世界』(野依秀市主幹)創刊。
真宗大谷派、布教研究会設立(常任委員柏原祐義・沼法量・武内了温)。雑誌『教化』創刊。
佐々木月樵・山邊習学、赤沼智善、鈴木大拙ら東方協会設立、
雑誌 Eastern Buddhist 発行。
1922
(大正11)
藤永清徹『大正新撰妙好人伝』
宇野最勝編『信者めぐり』[三田源七の信者めぐりの記録と法語録]
間島義山「松山に隠れたる妙好人」(『教化』15号) 木津龍城『恵みにつつまれて』(藤井巌編輯、近江求道会発行)刊。
1923
(大正12)
清水順保編『庄松ありのままの記』   真宗大谷派映画宣伝班制作映画「大和の清九郎」上映。
(9/1)関東大震災。
(11/10)国民精神作興に関する詔書発布。
1924
(大正13)
  野依秀一「庄松上人と私の信仰」(『真宗の世界』10月号) 政府、各宗と思想善導の懇談会。
1925
(大正14)
菅真義編『芬陀利華』[石見の善太郎の言行録] 「宗団の名誉かざる真宗信徒の亀鑑」「古今稀にみる婦人の亀鑑」「生ける妙好人 真宗信徒の模範」「寺門の光栄 坊守の亀鑑」(『真宗』大谷派本願寺宣伝課、286--289号)[宮中銀婚式にあたり表彰された孝子節婦義僕のうち真宗大谷派に関係する人々を紹介]
「修養逸話 仏佐吉翁」(『真宗』289--293号)
(3月)真宗大谷派『教化』誌休刊。
東本願寺管長大谷光演辞任。
1926
(大正15, 昭和元)
菅原洞禅『趣味実演 美譚感話』
園部竜顕『妙好人清九郎を偲びて』
   
1927
(昭和2)
片山専寛編『信者吉兵衛言行録』
伊藤康善『法悦に輝く人々』
「大和の清九郎翁」(『真宗』308・309号)  
1928
(昭和3)
庵原編・林性常訂『庄松ありのままの記』   北村教厳『法悦録』刊。
1929
(昭和4)
    近角常観、宗門革新運動。
1930
(昭和5)
  「崑崙の行者 大和の清九郎」(『真宗』339号)
「文部省より表彰せられた孝子泉きぬ女」「孝子清水すゑの女」「孝子石黒正次君」「孝子井口はなゑ女」(『真宗』350--353号)[教育勅語渙発四十周年記念にあたり文部大臣より全国の孝子順孫節婦を表彰、そのうち大谷派門徒の履歴を紹介]
 
1932
(昭和7)
    安波勲八述『信仰軆驗録』(麻生介編)刊。
1934
(昭和9)
高木櫪堂編『信仰小話』[信者の言行録] 「花柳界に稀な妙好人 鯖江の安藤花さん表彰さる」(『文化時報』文化時報社、2865号) 雑誌『よびごえ』(藤永清徹ほか)創刊。
1935
(昭和10)
藤永清徹『大正増補新撰 新妙好人伝』   藤秀王翠『念仏生活の諸相』刊。
真宗大谷派布教係総会協議事項「現生正定聚の益と人生生活との関係を現代人に如何に適切に説示すべきや」(『真宗』400号)[次号に「現如上人追慕略記」として1894(明治27)日清戦争のさいの従軍布教を紹介]
1936
(昭和11)
松原恭譲『真宗の信念と妙好人逸話』
松原恭譲『妙好人百話』
   
1937
(昭和12)
富士川游『新撰妙好人伝』(--1940(昭和15))   (7/7)盧溝橋事件(日中戦争勃発)。
1939
(昭和14)
    宗教団体法設立。
1940
(昭和15)
玉川義隆『諸国信者列伝』[仰誓・僧純・象王『妙好人伝』現代語訳]    
1943
(昭和18)
藤秀王翠『大乗相応の地』[「妙好人才市の歌」掲載]
鈴木大拙編『庄松言行録』
  鈴木大拙『宗教経験の事実』刊。
大日本戦時宗教報国会結成。
1944
(昭和19)
岩倉政治『行者道宗』   鈴木大拙『日本的霊性』刊。
1945
(昭和20)
    (8/15)「終戦」の詔勅。
(12/15)GHQ、神道指令。
1947
(昭和22)
藤秀王翠『純情の人々』    
1948
(昭和23)
楠恭『能登の栃平ふじ』
木村晩翠『庄松同行を語る』
  鈴木大拙『妙好人』刊。
1949
(昭和24)
楠恭編『妙好人才市の歌』
宇野最勝編『信者めぐり』再刊
   
1950
(昭和25)
三品彰英・高木智『妙好人清九郎』
松田青針『愚者の信仰』
谷川俊昭『法悦のあと』
大須賀秀道『貞信尼物語』再刊
柳宗悦編『妙好人因幡の源左』
楠恭編『庄松言行録』
   
1951
(昭和26)
    (4/3)宗教法人法公布。
1952
(昭和27)
川上清吉『石見の善太郎』
村山熊太『庄松と願船』
村山熊太『妙好三人』
寺本慧達『浅原才市翁を語る』
   
1953
(昭和28)
岩見護『赤尾道宗』
宇野最勝編『信者めぐり』再刊
  家永三郎「親鸞思想の歴史的限界」(『大法輪』20-1)。
1954
(昭和29)
    藤島達朗「妙好人の社会性」(『日本仏教学会年報』19)。
1955
(昭和30)
藤永清徹『妙好人新集』
村山熊太『妙好人の歩み』
大洲彰然『お軽同行物語』
甲斐静也『庄松同行物語』
宇野最勝編『信者めぐり』再刊
   
1956
(昭和31)
稲垣最三『信者吉兵衛』
富士川游『新撰妙好人伝』再刊
菅真義編『妙好人善太郎翁』[『芬陀利華』増訂版]
中沢南水「妙好人伝」(『文化時報』)  
1957
(昭和32)
玉田賢治『播州の宇右衛門』
遺徳顕彰会編『妙好人宇右衛門翁』
村山熊太『妙好人の余瀝』
岩見護『赤尾道宗』再刊
藤秀王翠『宗教詩人才市』
真田慶章『法悦の人々』
川上清吉『浅原才市』(浅原才市顕彰会発行)
平原暉也「妙好人めぐり」(『よび声』増刊号)  
1958
(昭和33)
仰誓・僧純・象王『妙好人伝』再刊    
1960
(昭和35)
宇野最勝編『信者めぐり』再刊   柳宗悦「妙好人」(吉田小五郎編『柳宗悦・宗教選集4』所収)
1962
(昭和37)
高木実衛『稲川たきの女法悦録』
宇野最勝編『信者めぐり』再刊
  真宗大谷派、同朋会運動。浄土真宗本願寺派、門信徒会運動。
1964
(昭和39)
    鈴木宗憲『日本の近代化と「恩」の思想』刊。
1966
(昭和41)
菅真義『妙好人 有福の善太郎』[『妙好人善太郎翁』訂正増補]    
1967
(昭和42)
鈴木大拙編『妙好人浅原才市集』    
1968
(昭和43)
仰誓・僧純・象王『妙好人伝』再刊    
1977
(昭和52)
  「〈現地ルポ〉妙好人を訪ねて」(『大乗』、6月--1980年2月)  
1979
(昭和54)
三木恵照編『小さな妙好人』    
1984
(昭和59)
花岡大学『妙好人の世界』
藤秀王翠『新撰妙好人列伝』[『純情の人々』改題]
   
1985
(昭和60)
朝枝善照『いま照らされしわれ』    
1987
(昭和62)
春日礼智『越後の妙好人草間新八』    
1988
(昭和63)
楠恭編『定本妙好人才市の歌』    
1989
(昭和64, 平成元)
梯實圓『妙好人のことば』    
1990
(平成2)
高木実衛『新妙好人伝 近江・美濃篇』    
1991
(平成3)
高木雪雄『才市同行』
妙好人石見の才市顕彰会編『浅原才市のうた ざんぎとかんぎ』
  亀井鑛『われら念仏に生きる』刊[真宗大谷派の同朋会運動機関紙『同朋新聞』に掲載された門徒体験談を編集]。

参考文献

更新履歴

2005-10-11
JavaScript 版に統合。JavaScript 対応ブラウザでは年表の部分が見出し行を固定したままスクロール可能 (MSIE 6.0 SP2、Mozilla Firefox 1.0.7 で動作確認)。
1997-12-30
frame + JavaScript 版作成。
1997-05-06
公開。
黒崎浩行
Copyright © 1997-2005 Hiroyuki KUROSAKI.